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食品工場での暑さ対策を考える。ver.1

6月頃から弊社の問い合わせで増えるのが、暑さ対策商品の問い合わせです。

食品工場で生産されている商品により作業環境は様々。「生産品目はカット野菜なので涼しいです」と言う会社さんもあれば「せんべいを作っているので暑いどころではない」と言う食品工場さんまで。

このコラムでは、ユニフォームや白衣の専門販売を行うマエカワユニフォームで、色々な暑さ対策商品を試しその結果を考察しています。

商品購入や検討材料の1つとして読んで頂けると幸いです。

暑さ対策商品.1:空調服型白衣ユニフォーム

空調服型白衣ユニフォーム

まずは、誰もが1度は考えるこの商品。

ちなみに、空調服型と記載していますが、「空調服」が商標登録されているかもしれません。かなり昔に発売されたのですが、その頃は時代がついてきておらず、イロモノユニフォームと言う扱いでした(あくまで私のイメージですが。。。)

それが、この4・5年の間に急激に市民権を得た感じで、最近ではワークマンでも販売されています。私は特許関連はどうなっているのかが凄く気になってます。

話が、脱線してしまいましたが、結論から言うと、

食品工場では使用不可。

理由は大きく2つ

  • ファンを回す事で空気が白衣の中に入り込み、その入った空気が首元や裾口などから外へ出てしまう。同時にユニフォームの中に閉じ込めていた異物を外に排出してしまう。(異物混入対策ユニフォームを着用する意義がなくなり本末転倒と考えます)
  • 暑い現場だから着用すると考えると、当然現場の空気は温度が高い。その高い温度の空気をファンでユニフォームの中に取り入れても熱風が入ってくるだけなので、ファンによる効果はかなり薄い。

もともと外で作業される職人さん向けに上市された商品なので、高温の室内では不向きな商品だと思います。特に異物混入を考える食品工場の白衣ユニフォームと考えればあまり意味のない商品と言わざる得ません。値段も凄く高いですしね。。。

暑さ対策商品.2:アイスベスト型

アイスベスト型

ちょっとそれ何なの?と思う方もいらっしゃると思いますが、写真にあるような保冷剤を背中や脇の下などに入れ込むベスト型の商品になります。

これだと空調服型で問題になった2点を克服出来るので、私も「これはイケる!」と思ったのですが、結果は惨敗。思慮が足りなかったと今でも反省しています。

イケなかった理由。

保冷剤が1日持たない。

先ほども記載しましたが、もともとの現場が暑いんですよね。なので23度の室温なら良いのですが、現場が23度なら検討しませんよね。なので保冷剤が1日もちません。「じゃー保冷剤を2set購入してもらって、交換したらいいのでは?」と考えたのですが、保冷剤を冷やす業務用の冷蔵庫も購入してもらわなければなりません。従業員5名の食品工場さんなら、事務所の冷凍庫でも足りるかもしれませんが、そうでなければイニシャルコストが跳ね上がりますよね。。。

びしゃびしゃになる

想像すれば当たり前なんですが、保冷剤がとけて文字通り「びしゃびしゃ」になります。

結論としては、

使えなくはないが課題も多い

熱中症による労災が多発しているなら一考の余地ありと考えます。

「じゃー誰が着用するんだよ!」と思われた方もいらっしゃると思いますが、高級車を扱う工場などでは空調服のファンが車体にあたり、凹んだり傷ついたりする事もあるらしく、この保冷剤付きベストを使用しているそうです。確かに高級車のドアを3台分くらい凹ませる事考えたら、冷蔵庫は安い買い物かもしれません。。。

※写真は高級車=この車と言うただのイメージです。

暑さ対策商品.3:ヒンヤリ型ユニフォーム ver1

ヒンヤリ型ユニフォーム ver1

ver1と記載していますが、ver1を説明した後、ver2を説明します。

ヒンヤリ型なのですが、ver1は素材がヒンヤリすると言う商品です。素材がヒンヤリするって最高じゃん!と思われると思いますが、なぜヒンヤリするのかも説明します。

ヒンヤリする理由:素材にレーヨンやナイロンを使用している。

だから何なの?と思われるかもしれませんが、熱伝導率が高いんです。なので触った瞬間、手の平の熱が放熱されるのでひんやり感じる。鉄と木材を触った時に、鉄の方がヒンヤリしてる感じしますよね?あれと同じです。熱伝導率が高いのでヒンヤリ感じる。と言う訳です。ニトリさんのNクールなども素材にレーヨンやナイロンを使用しています。原理の1つとして熱伝導率の高さが大事なんですね。

こう考えれば、この商品はイケるでしょ!と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、結果は×

熱伝導率が高いと言うだけで、ヒンヤリが永久的に続くわけではない。
レーヨンやナイロンがポリエステルと比べて弱い。

着用した時はヒンヤリしてていいんですよ!でもヒンヤリはその時だけ。2時間後も3時間後もヒンヤリしているか?と聞かれると、たぶんヒンヤリしていません。

布団やシーツは寝転がってから30分もあれば眠りに入れますし、冷たい部分を探しながら布団や位置を変更出来るので、とても良いと思うのですが、ユニフォームだとそうはいきません。少なくとも7~8時間は着用しっぱなし。ずーっとヒンヤリが続くわけないですよね。。。

次に素材自体がポリエステルと比べると弱い。ユニフォームなので耐久性も大事。そう考えると食品工場の暑さ対策品としては、使いづらいかなと言うのが私の結論です。

そのため、食品工場用ユニフォームとしてはまだ上市されていないと思います。

そう考えると、布団やシーツは、素材的にも用途的にも適してるんですよね。寝室が35度って事もないでしょうしね。

暑さ対策商品.4:ヒンヤリ型ユニフォーム ver2

Ver.2 キシリトール入りユニフォーム

初見の際は「ついに出たか!」と思いました。キシリトール配合ユニフォーム

もし、食品工場用の白衣にキシトールが入っていると言う売り込みの商品なら止めておいた方がいいと思います。それであればコンプレッション、いわゆるアンダーアーマー系のピタッとした商品にキシリトールが入っている商品を選ぶ方が良いかなと思います。これは私も試していませんので、完全な考察になるんですが、肌に接触していないとほぼ意味がないんじゃないか?

そして

100回洗濯しても性能はkeep出来るのか?と言うのが疑問。

年間120日休みだとしても240日はユニフォームを着用する訳ですから、少なくとも240回は洗濯する事になります。白衣3枚で洗濯をくるくる回すなら、80回/年の洗濯を行います。

毎年3枚支給すると言う前提の計算ですので、そこは各工場さんで「うちはどうかな?」と計算してみてください。1着何年着用するのか、洗濯回数は何回か、

そう考えたら、「その洗濯回数でも性能はkeep出来ます!洗濯劣化で性能は落ちません」と言うエビデンスがあれば試着検討してもいいんじゃないでしょうか?

3ヶ月後には普通のユニフォームと同じになってしまうなら、検討するだけ無駄ですよね。。。

暑さ対策商品.5:ヒンヤリスプレー

ヒンヤリスプレー

3連続でヒンヤリときたので今回こそは!と思うのですが、、、

このヒンヤリには大きく分けて2つ

「コールドスプレー的なヒンヤリスプレー」と「気化熱を狙ったアルコール系スプレー」です。

「コールドスプレー的なヒンヤリスプレー」冷たい!でも一瞬だけ!!8時間働くのに冷たいのは一瞬だけ。。。

「気化熱を狙ったアルコール系スプレー」これは狙いは凄く良かったんですが、問題が2つ。

アルコール系のスプレーなので食材に対して影響がないのか?と言う事。

それから用途が職人さん向けで、食品とは関係ないのでスプレー自体にシトラス系の香りがついています。

香りによる食材への影響はないのか?と言う事。

弊社のお客様に試してもらったのですが、「涼しいんだけど、匂いがな。。。」と言う評価で採用されず。

でも、夏のゴルフや野外活動には最適です。

結局何がいいのか?

弊社も食品工場での暑さ対策を色々検討して試したんですが、正直言うと現場が35℃なのに着用するだけで25℃になる商品などありません。身も蓋もない結論ですが、ある訳ないですよね。

色々検討した結果、1℃でも良いので体感温度を下げる恒久的な対策として以下が良いと思います。

 

1.上下ユニフォームを「吸汗速乾素材」または「薄い物」に変更する。

→各工場様で十分検討出来ると思います、自社で使用しているユニフォームが薄いか薄くないかが解らない場合は、お問い合わせからご相談ください。

2.帽子を吸汗速乾素材の生地が薄い物に変更する。

→1と同じく、お問い合わせからご相談ください。

3.インナーネットを生地ではなくメッシュに変更する。

→生地のインナーネットをメッシュ状のインナーネットに変更するには勇気が必要です。単純に考えて、メッシュより生地の方が隙間が無く、毛髪が出にくいからです。

しかし、よく考えれば、インナーネットの外側には更に帽子を被っています。その為、網状のインナーネットから万に1つ毛髪が落下したとしても、その毛髪は帽子の内側です。作業現場に落ちる事は無い。と言っても良いと思います。よく「毛髪がインナーネットや帽子から飛び出ません」などの売り文句を聞きますが、インナーネット・帽子と2重の防壁を突き抜ける髪の毛が寿命を終えて抜け落ちるのかが疑問です。そもそも1本の髪の毛がインナーネット・帽子の両方を同時に突破するって、手でグリグリ擦りつけるなら解りますが日々の作業時にそんな状況ありえるんでしょうか?

可能性は0ではないですが、ほぼ起こり得ないのではないか?と考えています。

4.マスクを3層から2層へ変更する。

→以前は2層マスクが主流でしたが、コロナ禍の影響で食品工場では3層マスクをご使用されている工場も存在します。この3層を2層へ戻す事で熱のこもりを防ぎ熱中症を回避するのが上策かと考えます。

5.会社で熱中症対策の飴などを配布し、こまめに水分を補給してもらう。

→原点回帰。少しの費用と少しの時間で熱中症による労災を防げるなら安い物かと思います。

 

少しでも作業環境をよくしたい。と言う思いは各社様一緒だと思います。しかし、暑さ対策商品はありますが革新的な商品って中々ないですよね。。。

絶大な効果はありませんが、ユニフォームの変更・インナーネットや帽子の変更・こまめな水分補給など、基礎的な事が一番の近道かもしれません。

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