現場目線でリアルに考える、食品・薬品工場の異物混入・毛髪混入の原因と対策
食品や薬品を扱う工場で、常に頭を悩まされる異物混入問題。近年、虫や金属片やプラスチック片などさまざまな異物混入事件が発生したことで、消費者の目もいっそう厳しくなり、工場には二重、三重の防止対策が求められています。異物のなかでもとくに混入の危険性が高いのが、虫と毛髪です。自然界に無数に存在する虫と作業する人の体毛ですから、その混入をゼロにするのは非常に困難。「これをやっておけば大丈夫」という黄金の解決策は存在しません。しかし、できるかぎりゼロに近づける工夫が大事です。ここでは、異物のなかでも「毛髪」にスポットを当て、食品工場や薬品工場が抱えるリアルな問題と照らし合わせながら、その原因と対策をご紹介します。ぜひ、対策の参考にしてください。
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毛髪混入がもたらすリスク
食品工場や薬品工場では、異物混入が消費者の健康被害につながることがあります。ただ、毛髪の場合は、金属片や毒性の高い薬剤などが混入する場合とは違い、直接的な健康被害につながることはまずありません。
とはいえ、「毛髪が混入していた」というクレームに対して「体に害はないから大丈夫です」と答えるわけにはいきません。最近では、SNSに混入した異物の写真やクレーム対応の様子を投稿されるケースも増えています。誤った対応をとれば、瞬く間に拡散され、批判の的に。信頼を失うのは一瞬です。そうなると、商品のブランド価値が下がり、商品を置いてくれる店舗が減り、売り上げが減少・・・と経営に悪影響が及ぶことは必至です。
クレームが発生したときの対応方法
毛髪がどの工程で混入したかを特定することは非常に困難です。さらに「製造工程で混入したものではない」ことを証明するのは、もっと困難です。ですから、「うちの工場で混入したものではありません」「知りません」という対応は通用しません。
毛髪混入のクレームが発生したら、まずは誠意をもって「不快な思いをさせてしまい、申し訳ありません」と謝罪することが第一。さらに、異物混入を防止するために、どんな対策をしているかを丁寧に説明することも大切です。「ここまで対策をとっている」と示すことで、「一生懸命やっているんだな」とお客様の怒りが静まることもあります。
クレームが寄せられたのが店舗だった場合は、店舗から工場へ「どんな対策をしているのか、今後どのように再発防止をしていくのか」と、対応を迫られることもあるでしょう。そんなときは、白衣や帽子を見直す、チェック体制を強化するといった何かしらの対策を打つことが必要になります。
毛髪が混入するおもな原因と対策
毛髪が混入する原因は、いくつか考えられます。
【原因】
・帽子やインナーネットがフィットしていない。
サイズの大きい帽子やインナーネットを着用していると、顔まわりが浮いてしまい、すき間から毛髪が落下することがあります。また、度重なる洗濯によって伸縮性が低下し、密着性が悪くなります。
【対策】
ユニフォームの管理は従業員に任せきりにせず、半年に1回は管理者がチェックして、サイズが合っているか、劣化がないかを確認しましょう。従業員の入退社のタイミングでは必ずチェックを。
【原因】
・帽子や白衣の着用の仕方が正しくない
白衣や帽子、へアーネットを使用していても、正しく着用していなければ効果を発揮できません。白衣のファスナーが首元まで上がりきっていなかったり、作業中に暑くなって胸元をパタパタしたり、帽子をゆるめたりしている従業員はいませんか?すき間ができると、毛髪が落下する原因になります。また、帽子の下にメガネを着用すると、やはり顔まわりにすき間ができます。
【対策】
従業員一人ひとりの意識を高めることが大切です。毛髪混入が発生した場合、責任をとるのは管理者ですから、中には「時給さえもらえればいい」という考えの従業員もいるかもしれません。しかし、異物混入が発生すれば売り上げが減り、従業員の雇用にも悪影響が及ぶ恐れがあります。朝礼やミーティングなどで日頃からしっかり説明し、混入防止に向けた意識を共有しましょう。
また、メガネのフレームは帽子に開いた「メガネスリット」に通すことで、帽子の上からメガネを着用でき、メガネと帽子との間にすき間ができるのを防げます。
【原因】
・作業前の対策が不十分
もともと作業着に付着していた毛髪が、作業前に除去しきれていないと、そのまま工場内に持ち込まれてしまいます。
【対策】
粘着ローラーの徹底やエアシャワーの設置など、ルールや環境の整備に取り組みましょう。
毛髪混入を防ぐ弊社製品のご紹介
【フルフードキャップ】(FB6970)
フルフードキャップは、フルフードにする事で作業者による調整が出来なくなりました。
結果、作業者による毛髪混入対策レベルのバラツキが無くなり品質管理の向上が望めます。
詳しくは弊社施品ページをご確認下さい。
https://maekawa-uniform.com/products/head/highgrade-head/fb6970/
【クールフードキャップ】(PC6520)
クールフードキャップの特長は、「吸汗速乾」です。
汗を吸収・拡散し速乾性に優れています。暑い場所や夏場などにご使用ください。
詳しくは弊社製品ページをご確認下さい。
https://maekawa-uniform.com/products/head/highgrade-head/pc6520/
【ヘアーネット】(ZA4501)
低価格から始められる毛髪混入対策インナーネットです。顔にあたる部分を大きくした為、毛髪混入発生率を大きく下げる事が出来ます。またソフトフィットの為、仕事終わりに顔に線が残るなどの問題もありません。詳しくは弊社製品ページをご確認ください。
https://maekawa-uniform.com/products/head/innernet/za4501/
毛髪混入防止に向けたルールづくりや環境整備
食品工場や薬品工場では、一般的に次のようなルール決めや環境整備が求められています。
・髪をとかしておく
更衣室では、白衣に着替える前に髪の毛をブラシでとかしておき、落ちやすい毛髪をあらかじめ除去しておきます。
・白衣の毛髪を除去しておく
白衣に着替えたら、粘着ローラーを使って、付着しているホコリや毛髪を除去します。頭の上から肩、腕、背中、ズボンと、上から下へ、しっかりとローラーをかけます。
・適したユニフォームを選定する
作業環境に適した素材・デザインのユニフォームを選ぶことが大事です。最近では、密着性に優れた水着素材の帽子が人気。ただ、汗を吸いにくく、肌荒れの原因になる場合も。デメリットもふまえた上で、素材選びをすることをおすすめします。
また、帽子はツバ付きタイプとツバなしタイプがあります。毛髪混入防止の観点から言えば、ツバなしタイプがおすすめ。ツバがあると粘着ローラーをかけにくくなりますし、ツバの上にホコリがのってしまうこともあります。
・エアシャワーの設置
工場の出入口にエアシャワーを設置し、ローラーで取りきれなかったホコリや毛髪を吹き飛ばします。両手を上げ、全身にエアーがしっかり当たるようにゆっくりと回転し、エアーが止まって異物が完全に落下してからシャワー室を出るというルールが大切です。
・入退室のルールの明確化
トイレ休憩やお昼休憩では、白衣や帽子をいったん脱ぐのが理想。ですが、更衣室がないなどその場で着脱ができない場合もあります。白衣のまま工場を出たら、入室前には再度粘着ローラーをかけ、エアシャワーを当てる、といった入退室ルールを明確にしましょう。
・除電ブレードの設置
化学繊維でできた白衣や帽子は静電気を帯電しやすいため、ホコリや髪の毛といった異物を吸着させてしまいます。静電気の発生を減らす特殊な糸を織り込んでいるものがほとんどですが、除電ブレードの上を歩いて静電気を除去してからエアシャワーを当てると除去率がさらに高まります。
異物混入対策は工場ごとに最適化を
異物混入対策は、コストをかければいくらでも設備投資ができ、どこまでやっても終わりがありません。ただ、お金をかけるほど効果が上がるというものでもありません。
たとえば、毛髪落下を防ぐために、帽子を3重にかぶっている工場もあります。エアコンの効いた工場ではそれも良いのですが、エアコンがない工場では従業員の負担が重くなり、作業効率が下がってしまったり、熱中症になってしまったりと、別の弊害が生じるかもしれません。
大切なのは、工場の設備環境や取り扱い食品・薬品、製造工程に適した対策を考えること。自社にノウハウがなければ、同業他社の取り組みを参考にするのも良い方法です。また、帽子や白衣を購入した会社に相談してみてもよいでしょう。ユニフォームの製造・販売会社は、多種多様な工場との取引があるため、対策のノウハウや情報を保有していることが多いものです。
社内コンセンサスを得て異物混入対策を徹底!
異物混入、毛髪混入の防止は、従業員の協力なしには実現しません。説明が不十分のまま、一方的にルールの厳格化やユニフォームの選定を行ってしまうと、従業員の不満や不理解につながります。それがいずれ、ルールの無視や不注意につながり、異物混入を引き起こしてしまうのです。
なぜルールを守らないといけないのか、なぜそのユニフォームを選んだのかという説明をすることで、対策の必要性が実感できます。また、対策を行うことが消費者を守り、ひいては工場で働く自身の雇用を守ることにつながると理解してもらえれば、ルール遵守の意識が自発的に高まっていくでしょう。